大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)319 判決

主 文

本件上告を棄却す。

理 由

弁護人加賀竜夫の上告趣意第一点について。

しかし窃盗罪は物に対する他人の支配を侵してこれを自己の支配内に移すことに

よつて成立するものであるが、原判決引用の被告人の原審公判廷の自供の一部及び

証人Aの原審第三回公判調書中の供述記載によると、被告人はAの腰提鞄から紙幣

を取出し、これを上衣の腋下に挾んでその場を去り、人垣の外の方に逃げ出そうと

するところを被害者に感知されて捕えられたというのであるから右紙幣を既に自己

の支配内に移し終つたことは明白である故に原審がかゝる証拠を基礎として被告人

が右被害者から現金を掏り取つたと判示し窃盗罪の既遂を以て問擬したのは正当で

ある。

論旨は理由がない。

同第二点について。

しかし原判決は被告人の自白の外被害者Aの原審第三回公判調書中の供述記載を

も証拠として引用しているのであつて、これ等の証拠を綜合すれば判示犯罪事実は

優にこれを認定し得るから原判決には所論のような違法はない。

よつて刑事訴訟法第四四六条により主文の通り判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

検事 福尾彌太郎関与

昭和二三年一〇月一六日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 塚 崎 直 義

裁判官 霜 山 精 一

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裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

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